スキャナでレシートや領収書を読み取って税務書類として扱っても良いーそのような規則を定めた電子帳簿保管法がここ数年で施行されました。しかしながら「そもそも何をどうすればいいのかがかわからない」「電子化することで税務調査とか面倒くさくなるんでしょ?」などといった声から、完全に電子化されている会社は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、電子帳簿保存法(2017年改正)をベースに「何を」「どうしたら」紙を処分してもよいのか、また会計ソフトを変えたりスキャンデータの保存先を変更したりする際に必要なことについても合わせて考えます。これらの財務諸表については、今回のレシートのスキャン保存といった要件が検討される以前から、出力できる状態にあればべつに紙にて帳簿を保存しておく必要はない、といった法規制がそもそも存在しています。
法人は、帳簿(注1)を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成又は受領した書類(以下「書類」といい、帳簿と併せて「帳簿書類」といいます。)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(注2)保存しなければなりません。
また、法人が、取引情報の授受を電磁的方式によって行う電子取引をした場合には、原則としてその電磁的記録(電子データ)をその事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存する必要があります。
ただし、その電磁的記録を出力した紙によって保存しているときには、電磁的記録を保存する必要はありません。
※国税庁HP「No.5930帳簿書類等の保存期間及び保存方法」より引用
平成28年に改訂された電子帳簿保存法の要件については、
- スキャンしたデータにタイムスタンプをつけること
- 税務署長に対してスキャナによる保存を実施したい3ヶ月以上前に電子保存の開始に関する申請を実施すること
- スキャンの実施とタイムスタンプ(承認電子印のようなもの)を押す人を分け、領収書の電子化に関し相互牽制ができる体制を作る(または、税務代理人を選任して定期的に検査してもらう)
の3点が大きな要件となっています。
また、タイムスタンプの付与と保存については、タイムスタンプの付与方法などについてマニュアルを準備することも合わせて定められています。
結果的に、この法規制によって会計ソフトの各社から「電子帳簿保存法のためのソリューション」が数多く提供されるようなシチュエーションが発生しています。