2020年はそれまでの働き方とは異なり「どのように、離れた場所にいる人としっかりコミュニケーションをとって働くことができるか?」を全員が考えた一年だったのではないでしょうか。中でも問い合わせがメールやチャットになり、マクロなどである程度自動的に問い合わせを捌いていく、といった試みも多くみられるようになりました。

そこでこれからの社会で必要な「自動化人材」になるために考えるべきこと、そしてどのようなことを学習していけば良いのか、考えてみました

目次

これから必要な「データマネジメント」としての事務職

単純作業を効率化する能力が事務員にも求められる時代に

会社にもよりますが、従来の事務職はある程度決まった問い合わせに対し、決まった対応をするといったものが多かったのではないでしょうか。申し込みの問い合わせに対してFAQを見ながら対応する、代表電話にかかってくる問い合わせを担当部署につなぐ、などといった業務がその一例です。ただし、それらの問い合わせの対応は、これからはAIがとってかわり、チャットbotや自動音声システムが行うようになるとも言われています。2019年ごろにはみずほ銀行が電話応答にAIを採用し、問い合わせの7割ほどを人の手をあまり介することなく応対した、というのはニュースにもなりました。

一方で、残りの3割の機械で応答できない複雑な問い合わせの対応や社内の問題点を発見し改善の提案をする、といった仕事については減っていません。2020年の段階では、その部分までAIがとって変わるようなことはありません。また、機械と人間では考えることが違う(前提が違う)ので、同じ問題を考えさせても人間の取るアプローチと機械のとるアプローチが違うといった研究結果もあったりします。

これからの事務職は、社内に散らばる問題点を的確に把握し、コンプライアンスや業績の悪化といった問題が顕在化する前にしかるべき対応ができる、そんな方が求められているのではないかと考えます。

データの3要素「可用性」「機密性」「信頼性」

すぐに分析に使える形式でデータを保管していない(紙帳票だけ)のデータは意外に多い

その中で大事なのが「必要な分析できる」力ではないでしょうか。もっとも、分析ができる、というのは複雑な数式が扱えなくてはならない、というわけではありません(もっとも、一部ではそのような領域も残っていますが、近年ではドラッグ&ドロップでかんたんにグラフなどを作ることができるツールが導入され、またデータを投げ込むだけで自動的に分析してくれるようなものまであります)

必要な分析ができる、と書きましたが、正しくは、分析ができる形でデータを整備する力、と考えるのが正しいです。

データをまとめて、というと、人は得てして見やすさを重視し、セルの結合などをして「印刷した際に見やすい」データにまとめるケースが往々にしてあります。これらは神エクセル問題として、現在でも各所にて問題視されています。

データをまとめる、といった際、情報処理の分野では「可用性」「機密性」「信頼性」を確認しましょう、ということが言われます。これらのキーワードをもとに「どのようなデータ収集・活用フローを作ればいいのか?」を考えてみましょう。

可用性:データが取り出しやすい、分析しやすいこと

可用性とはデータが使いやすいことです。これはデータがグリッドの、または一覧の形で整備されている形式のことを指します。具体的には「1行につき1レコード」というのが理想的です。

Excel方眼紙はやめよう!データ活用に効く表データの作り方

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RPAは「いかに難しい作業を、単純作業として表現するか」

RPAを組む上で必要なのは「いかに難しい作業を単純作業として表現することができるか?」というスキルです。例えば、銀行での窓口応対を考えたときに「障害者だとマル優が適用になるけれど、そのマル優の優待条件を細かく考えると…」とやり始めると、RPAで組み上げ切ったものは複雑な仕組みで一般の人にはメンテナンスしにくいものとなっている可能性があります。

そうではなく、マル優の対象となる障害者であるか?Yesなら、年収基準は?といったように、かんたんなYes・Noで表現できるフローチャートに業務全体を落とし込めるようにする必要があります。

時には「人でやる」ことを英断できる割り切り上手

そのように何でも機械化するのではなく、時には「マル優の対象になる人は少ないから、そこの自動化は一旦置いておこう。定型の問い合わせで量があるものは…」と自動化しやすい(=場合分けが少ない)業務を選別し、場合分けが多い業務は現場のプロフェッショナルに任せる、といった思い切りが必要です。

RPA人材になるためのキャリアステップ

ここでは、私が考えるRPA人材になる前段階としてのプログラマ的思考を身につけるためのキャリアステップを紹介します。

CRUD式のアプリをKintone、GoogleAppsScript、Office365で作る

まずRPAのみならずプログラマを目指す方におすすめしたいのが、CRUD式のアプリをつくる経験を持つことです。CRUDとはレコードの作成、更新、変更、削除の操作のことであり、CRUD式のアプリケーションは本の貸し出しシステムやブログシステムなど、メジャーなアプリケーションとなっています。それだけ、人にとっても機械にとっても処理しやすい、システムの基本形と言えるものです。

そのため、まずはKintoneやGoogleシートを用いてこうしたアプリケーションを作成する訓練を行うことをお勧めします。KintoneはCybozu Developer Forumというサイトから無料で5人まで使用できるライセンスを取得できますし、GoogleシートならGlideというノンコードプラットフォームを使用することができます。これらのアプリケーションは専門的なことは難しいこともありますが、プログラムとは?情報管理とは?どのように情報を切り分けてシステム化するか?を集中的に考えることができます。

Kintone: https://kintone.cybozu.co.jp/
Gsuite(Google Workspace): https://workspace.google.co.jp/intl/ja/

データの共有、バックアップについて考える

また、データの共有とバックアップについても重要です。RPAで作成されたデータはメールやLINEで送信していくと、(ただのお知らせはいいのですが)データの集積の場合メールを受信するたびにExcelを解析するなどの手間が発生します。継続的にデータを別の場所から送ってもらう場合、別の場所と共有で使用できるデータベースを用意するとBIやそのほかWEBシステムと連動するのが非常に簡単になります。また、RPAの実行時間そのものも短くできることが多く、結果としてソフトウェア・ライセンスの節約になります。

カプセル化を学ぶ

カプセル化とは「1つの何度も呼び出される機能を1つのモジュール(プログラム・単位)として作成し、簡単に呼び出せるようにする」ことです。例えば、ブログを運営しているのであれば各所にブログ記事を検索するウィジェットを表示したいことがあるかもしれません。そのようなさいに「ブログを検索する」という機能をどこでも呼び出しやすい(扱いやすい)形で整備しておけば、後々の工数を削減することができます。

RPA人材とは「プログラマ的論理思考」を体験することである

ここまでざっとRPA人材について、またRPAを扱える人になるために必要なことについて触れてきました。色々と書きましたが、RPA人材とは「プログラマ的な論理思考を体験し、いろいろなものを掛け合わせるのに必要な前提条件をしる」ことだと感じています。そしてこのスキルはITではない部署であったとしても、例えば営業での他の商材・企業とのコラボ商品や営業手法の開発などの場合でも役立つ思考法ではないでしょうか。

ぜひ、こんな時期だからこそ、RPA人材としての学習を初めてみてはいかがでしょうか。

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