2020年3月〜5月のコロナウィルスの流行により、多くの企業が一部(あるいは全体)のテレワーク化に進むことになりました。以前から「働き方改革」と叫ばれてはいたものの「急ぎではないし組織改編なんて面倒だしな〜」とあまり取り組まれていなかったテレワーク。今回のウィルス蔓延により急に対応を迫られ、困った会社も多いのではないでしょうか。

そこで、その中でも特にリモート化が難しいとされているものの一つである「代表電話」について、クラウド化するとともに働き方改革につなげる方法について考えていきます。

目次

携帯での業務はNG! 「いつでも働ける」ではなく「いつでも働かされる」環境は離職率を高める

テレワークというと「業務用携帯を渡して、そこに直接連絡させるようにすればいいのではないか?」という意見が多く聞かれます。確かに法人向けの携帯は(法人向けのプランであれば)そこまで高くありませんし、一見合理的です。しかし、営業時間外にかかってくる電話について想いを馳せたことはありますでしょうか。

私の拘ったことのあるある会社では、お客様の問い合わせ窓口を営業担当の携帯としサポートダイヤルに大々的に表示していました。もちろん営業時間も記載しており、クレームなども受け付けられないこともきちんと明記はしていました。しかしながら深夜帯まで電話が鳴り止まず、またかかってきた電話なので翌朝の対応とすることなくその場で対応するケースが多かったといいます。

いつでも自由に個人の裁量で会社に求められている成果物を出す、というテレワーク。これでは24時間対応のコールセンターを各個人にやらせていることと変わりません。この場合、労働基準法としては「電話に出なくてはいけない時間として待機させている」として(仮に電話に出ろと明確に指示していれば)100%残業時間として算入されます。もちろん、24時間労働となると労働基準法の悪質な違反です。
それだけでなく、休みの日にも電話がかかってくるとなると、仕事の日ではなくても電波の通りにくい場所やうるさい場所には出かけれらなくなります。気分も鬱々とし、仕事の生産性の低下にもつながってしまうのです。

「時間を決めて働ける」コミュニケーションツールとは?

時間を決めて働くには、以下の3点を満たす必要があります。

  • 営業時間をはっきりと分けられるような仕組み(営業時間外は留守電や夜間担当に電話が転送できる仕組み)
  • 各自の担当した内容を記録できる入電記録・仕事対応履歴を管理できる仕組み
  • チャットなどの「同時通話」ではなくてもコミュニケーションが取れるツールの導入

①営業時間をはっきりと分けられるような仕組み

こちらについては一般的にPBXというビジネス用の電話機を利用されるケースが多いです。家庭用電話機でも「留守電」機能を使用することで留守電に切り替えることが可能です。

しかし、テレワークとなるとその場にいない複数人でかかってきた電話を順番にとるような格好となります。そのような状況では、お互いの受電本数・長さなどを確認できること、また電話が各自に均等になることを考慮して上げる必要があります。お互いの顔が見えない分「あの人は電話をこれくらいとっている(ヘビーなお問い合わせがあった)から、これくらいの仕事量は仕方ない」「これくらいの仕事が何故できないのだろう?」といった理解がお互いにできるような客観的なデータを示し続ける必要があります。

②各自の担当した内容を確認・記録できる仕組み

各自が担当した内容を記録し、サポートデスクシステムなどに「問い合わせ」として記録していくのが理想的です。といいますのも、距離が離れている場合は十分な研修を行うことができず、また近くの方に聞きながら/サポートされながら電話対応をすることができないためです。そのためには、Wordなどできれいに作成したマニュアルももちろんではありますが、それ以上に「類似の問い合わせを見つけ、それに沿った回答をする」こと、そして「重要顧客/ブラックリスト顧客に特に丁重に対応するようにする」ことをしっかりと意識することが大切です。これにより「あの人は○○だったのに、こちらでは××」といった無用な入電を防ぎ、よりコア業務に専念できる環境を作り出すことができます。

③チャットなどの同時通話ではなくてもコミュニケーションが取れる仕組み

お互いが電話しているかどうかが見えない状況の中では、とにかくお互いの動きが見えなくてもコミュニケーションが取れる・なんとなくつながっている感があるコミュニケーションツールを選定することが必須となります。

一部の会社では「常にお互いの顔が見えているようにしている」というツールを導入するケースもあるようですが、このツールの導入の是非には常に議論があります。事務所にいても家にいてもサボる人はサボるわけですし、職場にいるからと言って信頼していいわけでも、在宅だからと言ってサボるというわけでもありません。何より、プライバシーの観点や「いつでもどこでも働ける」というテレワーク の概念から大きく外れていることは否めません。

コミュニケーションツールとして有名なものとして「Zoom」「Cisco Webex」「Teams」「LINE WORKS」「Slack」「Chatwork」があります。それぞれビデオ会議に強いであるとかモバイルでの閲覧に強いであるなどの特徴が異なりますので、用途に合わせて適切なツールを使い分けるのがポイントです。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください