コロナウィルスが猛威をふるい「いつまでかわからないけど…」外出自粛を要請されている現在。今まで「テレワークってなんだかわからない、会社にもわかる人がいないし…」という人も本格的にテレワーク環境の整備を考えなくてはならなくなりました。テレワークというと「何か大掛かりな装置が必要なのでは?」と考えられる方がいらっしゃるかもしれません。いいえ、特に中小企業では「電話」「データの管理」「勤怠管理」だけしっかりすることで、簡単にテレワークに移行することができます。

ここでは、中小企業のための「ミニマムスタート」テレワークについて触れていきます。

目次

テレワークで考えること:個人情報の流出、普段と同じシステムにアクセスできること、対外的(お客様)からみて通常通りに仕事ができていること

テレワークをする上で最大限の成果をあげる…という以前に、そもそも「会社として営業している」とみなされる最小の環境とは一体どのような環境なのでしょうか。このことについて考えてみると、以下のような要素があげられると考えます。

・会社に電話したら誰かが電話に出て細かい問い合わせに対応できる
・請求管理/入金管理、商品の発注/受注対応などが滞りなく実施できる

そのほかにも細かくあげればキリがないですが「問い合わせに応じられる」「商品(商材)の販売ができる」の2点が整えばテレワークが可能だと考えられます。メーカーであれば「商品の製造ができる」という問題があるのですが、商品の製造(検品/発送)がなければそのほかのプロセスについては手軽にオンライン化することが可能です。

商品の製造の部分をのぞいて考えた場合、テレワークの上での課題となるのは「電話を出られる環境の整備」と「お互いに必要な情報を迅速にやり取りできる環境」の2点だと言えます。

電話の解決策

電話については、いくつかの解決策がありますが、ここでは「IPーPBXサービス」を紹介します。IP-PBX電話サービスは月額1000円ほどから使用ができること、本質的に社外から全ての電話の着信対応が可能になることからお勧めしております。

代表的なサービスとしては「モバビジ」「Mot クラウドPBX」「BIZTEL」などがあります。値段は〜月10,000円ほどかかるのですが、電話機が複数台以上になった際に必要なPBX(電話交換機サーバー)が新品で約80万円ほどすることを考えると、5年でもPBXのと同じくらいの値段で運用ができる…とみることも可能です(そして、PBXにはない感染症や震災時の自宅での電話応対が可能になる仕組みつき)。お客様からの問い合わせを折り返しにすることなくすぐに対応することができるので、今までには実現できなかったレスポンススピードを実現することができます。

※なお、PCにUSBヘッドセットをつないで出るようにするのが在宅勤務の場合やりやすいと考えます。個人使用のスマートフォンにアプリケーションをいおれた場合、プライベートの着信履歴の中に社用電話の着信履歴が入ってくるのを毛嫌いされる方も多いためです。

お互いに必要な情報をすぐにやり取りできる環境の整備→チャットとオンラインストレージの導入

せっかく外で電話が取れるようになっても、電話に対応して作業するのに必要となる元データがないと話になりませんよね。そこで必要なのが「オンラインストレージサービス」と「チャットツール」です。

個人的にはTeamsまたはGoogle Hangoutをお勧めしています。理由としては、何のサービスにもメールサーバーと共有クラウドストレージの機能がついており、また迷惑メール配信などに対する耐障害性が一定程度担保されているからです。値段も1人500円程度ですので、それなりの共有サーバーを購入するよりも安く済みます。

例えば、アイオーデータの販売する法人向けNAS(故障時にデータ修復ができるRAID1バックアップ機能付き)ですと、1TBで約10万円という費用がかかります(そして、そのNASを社外からアクセスさせる際に別途アクセス装置を月額1万円程度で導入する必要があります)。

クラウドストレージを使用すると5人の場合月額2500円かかりますが、メールサーバーに約1000円かけていた場合、その差額は1500円(1人300円)。5年に直すと、差額の積み上げがちょうど10万円です。自社内に置いておくより信頼性の高いクラウドにデータをバックアップしたほうが、データのアクセスがしやすくなります。またビジネスチャットサービス(Office 365の場合はTeams)が使用できるようになっているので、NASに比べさらにスピーディな情報共有ができるようになります。

※共有メールサーバーを利用するリスク
普段あまり意識して使用していない共有メールサーバーには、同じサーバーを共有している他の事業者からのスパムメール配信によって関係のない自社のサーバーが封鎖される、というリスクがあります(※正確には封鎖ではなく、SPAMメール(迷惑メール)送信元として登録され、自動的に迷惑メールフォルダに入れられるかそのままメッセージもなく削除される)。

快適に使用できるパソコン

あとは、在宅で使用できるノートパソコンを支給してそこに必要な電話アプリと共有ストレージサービス、ヘッドセットを支給します。通信環境がない…という従業員の方には別途、モバイルルータを貸与します(モバイルルータは短期で契約/解約を繰り返すと携帯事業者間の取り決めで契約ができなくなるようになるようです。6ヶ月以内に解約する予定のモバイルルータは安易に購入せず、短期利用のものを用意する必要があります)。

性能としては(事務処理の内容によりますが)以下の性能を満たしているPCを購入すると間違いが少ないでしょう。

CPU

Core i3(CPU世代第8世代以降)
メモリ 8GB
ストレージ SSD 256GB

なお、OSでChrome OSを搭載している「Chrome Book」なるものが販売されていますが、IT企業など情報機器操作に慣れている人が多い会社以外ではお勧めいたしません。ExcelやWordのデスクトップアプリが使えなかったり、細かいOSの挙動(シャットダウン/デスクトップなど)が違ったりと普段の業務の方法と異なってしまうためです。

また、PCを支給するときにはOfficeのライセンスを入れておくのを忘れないようにしましょう。短期利用の場合は「Office 365 Business」を契約すると、月額1000円/台ほどで調達できます(購入すると36000円ほどするので、短期利用の場合にはサブスクリプションでの購入がダントツでお勧めです)

まとめ テレワークは「業務の棚卸し」に効果あり!

テレワークに私自身が取り組んでいますが、現在テレワーク開始から約30日が経過しました。運動不足になってしまうなどの問題点もありますが、それ以上に感じているのが「どのように仕事をふるか?/報告を受けるか?」の部分を真剣に考えるようになったことです。雑に仕事を振って「わからないことが会ったら聞いてね」といったことができず、きちんと物事の背景を含めて説明する努力をすることで、検討ちがいの仕事をさせることがなく生産性を向上させることができました。

仕事を振る側からすれば「めんどくさい…」と思う内容ではありますが、一方で一般の労働者が「仕事を教えてくれない/マニュアルがなくよくわからない・担当者のカンでやっている」と感じている不満は、このやり方でだいぶ解消するのではないでしょうか。一度指示をしっかりと出してしまえば、次回以降は同じ資料などを用いて指示を飛ばすことができるので、将来的には研修コストを削減することも可能になります。

ピンチはチャンスに変えるためにある。その言葉を胸に刻みながらこの難局を一緒に乗り切って行きませんか。

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