RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)というソフトウェアがある。このソフトを使えば、事務所でのマウス操作とキーボード操作を人に代わり行ってくれるので、人件費の削減にも役立つとして期待されています。
しかし、もっとも大事なポイントは「その自動化にどれだけの時間がかかるのか?」「誰でも本当に扱えるのか?」という点だと思います。

そこでここでは「マニュアルをみずに」「簡単に扱える」RPAシステムを検証していきたいと思います。
※なお、今回は私が実際に業務等で扱う3システムに限定します。

目次

使いやすいとは?UIよりもっと大事な3つの視点

このブログを執筆している私ですが、本業はと言えば中小企業でのITシステム担当として社内のITインフラ周りをみている社内SEと言われる人になります。当然、各部署からの依頼を捌くという観点からは「ユーザビリティ」を考えるのですが、私が考えるユーザビリティに満ちたシステムとは、下記の3点を満たしたシステムと言えます。

  • 初心者にとってわかりやすい見た目であること
  • 運用カバー的な”裏ワザ”が存在しないこと
  • 正確に動くこと

1番目と3番目は当たり前として、2番目の「運用カバー」問題です。これは、例えば「不動産の賃貸システムを物品の貸し出しシステムとして運用する」といった際を考えていただくと
・不動産の重要事項説明書類はいらない
・賃貸人と賃借人の登録方法がそこまで煩雑でなくても良い
・資金決済方法が口座のマッチングでしかできない
といった不動産特有の仕組みのために物品貸し出しシステムとしては「使いにくい」ー。そんな仕組みのシステムです。

これを防ぐために「ここにはXXXという提携文句を入れましょう」とか「ここには赤字で入力しましょう」なんて話が始まるのですが、このような話が多いとシステムとしての使いやすさは格段に下がってしまいます。

そのため、総務/経理などの非IT部門の内勤の人にとって使いやすい、ということを指標の一つに入れています。

3つのRPA(GUI)を試してわかった、初心者がつまずきにくいRPAとは

今回検証するRPAは「WinActor」「UiPath」「ロボパット」の3つです。

WinActor:見た目は古いが動作の安定さ、ライブラリの安定さが魅力的なRPA

WinActorはNTTデータが開発する国産RPAです。発売はもう10年以上前ということで、蓄積されたノウハウなどが魅力的です。大抵の疑問点はオンライン上のFAQサイトで解決可能ですし、見た目もフローチャートチックで(分岐点などもしっかりと強調して表示され)視覚的に流れがわかりやすいです。

UiPath:比較的値段が安く、小企業なら無料で使える見た目の良い自動化ツール

UiPathはアメリカの会社が開発しているRPAで、以前は英語版しかありませんでしたが現在では日本語への翻訳もされ少しみやすくなりました。また無料版についても提供されており、個人であれば無償で使用することができます。このことから学生でも扱いやすかったりするRPAなので、UiPathがもっともエンジニアを確保しやすくなる状況がこれからできるのではないでしょうか。

ただし、日本語の翻訳が少々怪しく、また英語本来のニュアンスが伝わらないケースもあります。例えば、変数への代入(変数の設定)は、Assignと呼ばれていましたが、これは日本語で代入と呼ばれています。確かに代入と言われれば代入なのですが、変数、と検索してもこの機能にはたどり着くことができません。また、この代入の機能は「1+1」などの四則演算を含んだ機能なのですが、四則演算の機能=代入、とは初見にはわかりにくいです。

ロボパット:惜しい!RPA

ロボパットはクリックしたいところも代入したいところもスクリーンショットにて指定できるというお手軽さが魅力的です。ブラウザの操作にはXPathというものを使用して操作対象をコードで指定するのですが、それがスクリーンショットで四角で囲むだけ…というのはお手軽感があります。

しかし、個人的にはロボパットには扱いづらい部分があります。私が感じるロボパットの難点は、以下のポイントです。

  • WEBページ/通常のWindowsアプリケーションの自動化速度に限界がある。
  • 変数の扱いに”裏ワザ”的な運用カバーが見え隠れする。➡︎想定外のばぐに四苦八苦する。
  • 複雑なプログラムを組むと全体が見えにくくなる(操作のグルーピング機能が他のRPAと比べて貧弱)※もっとも、巨大化し過ぎないというメリットもありますが。

自動化速度に限界がある、というのは、画像認識の特有の問題です。画像認識だけで自動化するということは、画面全体を検索して同じ要素が「イラストとして」どこに存在しているかを検索する、ということになります。これには負荷がかかりますし、複数のウィンドウ(Ex.複数のExcel)を見分けることができません。自動化スクリプトを覚えさせるときには、背景のないデスクトップを使用するであるとかウィンドウを最大化するだとかといった工夫が欠かせません。

また変数の扱いも難癖です。足し算のメソッドがあるのにも関わらず「結果を文字列として保存する」のチェックボックスが。これ自体はいいのですが、問題はこの「文字列として保存する」の意味が「小数点のない数字(整数として)保存する」という意味以上のものではない、ということ。決して文字列として保存し計算できないようにする、という訳ではないのです。それ以外にも変数に2桁以上を設定し他の変数などと比較させる、などの際に関数を組むなどの回避策が必要となります。

このように、数字の扱いなどで直感的にわかりにくい表現などが多いというのは、誰でも扱えるシステム、というには難しいのではないか?と思います。

結論として、私の中では費用対効果などを見ると
UiPath▶︎WinActor▶︎ロボパット
とこの中ではなっています。
※もちろん、将来的には変わるのでしょうが。

余談:RPAにこだわらず、まずはAPI接続機能を検討してみて

余談ですが、RPAにこだわる前にやるべきことがあります。それは、ZapierやIFTTTなどのAPIコネクトサービスを用いた自動化です。RPAのマウス/キーボード操作と異なり、高い精度での自動化が可能となるのが特徴的です(そして、RPAよりやすい!)

また、RPAを入れたい!となった際には、先に電子フローシステム(サイボウズ)やデータベースシステム(Filemaker、Kintoneなど)がなければ有効に活用することはできないでしょう。なぜなら、RPAはあくまでマウスとキーボードを機械的に触る”ぽちぽちくん”にしか過ぎず、数字の判断や手書き文字の解析にはスキャナにかけるなどの人の作業が必須だからです。その意味ではOCR(TegakiなどのAI採用のものがいいと思います)の採用を同時に進めるのも一案でしょう。

RPAは、業務効率化を考えるいいきっかけになります。この機会に、社内の業務などの電子化と標準化を進め、より人しかできない部分に頭と時間を使えるようにしてみてはいかがでしょうか。

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