2017年3月頃に経済産業省が中心となって進めていた電子領収書(電子レシート)の民間への導入実験。
日本経済新聞などでも報道され、近年話題のFintechの一角を占めるサービスとして認識されている。

ところで、実際のところ現在電子レシートを導入している・導入したとする企業は全国でどれくらいあるのだろうか?

電子レシートを提供しているベンダーと合わせ、普及の実態についてみていきたい。

目次

導入している店舗は?

インターネットで調べた限りでは、下記の施設にて導入が確認されている。

みやぎ生協、福島生協など 各都道府県生協
ビッグワン 沖縄県
トライアル 三重県
阪急ストアOASIS 滋賀県
ドンキホーテ 全国
ビッグカメラ 全国
とりせん 北関東中心

地域に根ざしている中堅の大企業が導入をしている状態であるが、まだまだ地域的な実験の域を抜けていないように感じる。

なお、試しにドン・キホーテで電子レシートを使ってみたので、参考にしてみてください。

電子レシート?ドンキホーテ[Majica]を試してみた

電子レシートを提供しているベンダーは?

現在国内で電子レシートを提供しているベンダーは少ない。

東芝テック(スマートレシート) 1店舗あたり2000円(琉球新報)
ログロート(iReceipt) 組み込みに強い。ドンキホーテが採用
スター精密(AllReceipts) 無料※導入ドキュメントが英語でわかりにくい
Kvitanco 1店舗あたり2,000円

東芝テック:スマートレシート(15社270店舗、会員3万人)※2017年7月現在。

レジメーカーが提供している本格的な電子レシートソリューション。
アプリ上にあるバーコードのみならず、今まで配布していた会員証でも電子領収証を受け取れるようなシステムとなっている。
利用料は月2000円。他社レジへの組み込みなどが進むか、については懸念が残る。

ログノート:iReceipt

東芝テックと同時期から電子レシートの開発に取り組んでいる業界のパイオニア。
最初の導入がラーメン屋などの地場産業が中心だったが、近年ではドンキホーテとのタイアップなども発表されている。
東芝テックと異なり、企業のアプリケーションの中にバーコード、レシート情報を表示するスタイルとなっている。共通プラットフォームとしての意味合いというよりは、家電量販店での延長保証加入状況の確認などの顧客フォローシステムの拡充との意味合いが強いように感じられる。
また、iBeaconを用いた同一チェーン店舗内での情報共有・店舗間送客ソリューションも発表されている。

スター精密:AllReceipts

米国では多くのベンダーと協業し、電子レシートソリューションを提供してきた企業。
しかしながら日本での導入実績は少ない。そもそもスター精密が電子レシートサービスを展開していることを知らない人が多いだろうというのはもとより、レシートプリンタと連動して電子レシートを発行できるレジメーカーが少ない。
また電子レシートを発行するレジはPCで動くものがやはり主流となってくるが、日本においては東芝テックがレジの半分以上のシェアを持っている。東芝テックのレジはPCというより独自OSを用いた組み込み系のものである。つまり、スター精密のソリューションが入り込む隙間が多くない。

Kvitanco(当サイト)

Airレジやスマレジなどの、いわゆる「iPadレジ」の管理パネルを使って電子レシートの発行を行うサービス。ベンダーやプリンタによらずに導入できるため、手軽に1店舗からでも導入ができるのがポイントだ。

仕組みについては下記の記事で紹介しているので、参考にしてほしい。

https://kvitanco.biz/service/kvitanco/

まとめ: 電子レシート業界に未来はあるか?

ここまで見てきたが、電子レシート業界は事実上の寡占業界(特に、東芝テックの一強)となっている。

また電子レシート自体については経済産業省が中心となってXMLでの仕様を策定しようとしている。仕様への参画企業には、日本NCRであったりNTTデータであったりと名だたる大企業が名を連ねており、仕様策定のあかつきには日本全国で爆発的に普及する可能性を秘めていると言える。ただし、それが2018年末から日本を席巻したPAYPAY祭りやLinePay 20%還元祭りに匹敵するものになるか?というと、そこまでの規模にはならないのでは…という気もしない。

仕様が策定されれば共通で管理するサービスが生まれる可能性がある。
家計簿と連携することで自動的に家計簿をつけることができるほか、企業側にとっては今までより精緻な利用者情報・マーケティング情報を取得することができるといった大きなメリットが存在する。
(会員情報が更新されない・・・といったスーパーなどの企業の悩みも同時に解決することができる、という面も持っている)

もちろん、個人情報保護のスキームはどこまで行っても大きな問題となるだろう。ただし、それさえ解決されれば圧倒的なスピードで普及する可能性が高い。

 

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