あらゆるものが電子化される現代。事務所の書類がガリ版からWord/Excelになり、本がWEBに一部取って代わられ、そしてショップまでもがECという形でデジタル化されました。今では家の鍵や給与明細といったかなりセキュリティに気を遣わなくてはいけないものまでもが効率的に電子化されています。

しかし、未だに電子化が進まないのが「電子レシート」。財布の中で気がつけば多くのスペースを食っており「邪魔!」といってレジの横のゴミ箱に捨ててしまうこともある、あの最たるものがまったく電子化される気配がないのです。

実は電子レシートを扱うレジメーカもあります。では、なぜ普及しないのでしょうか?ここでは3つのデメリットとその理由を説明していきます。

目次

日本のレジの半分は「東芝テック」製 & ネットにつながれていないレジも多い。

DSS・インフォメーション研究会公開の資料によると、日本のPOSレジの40%強は東芝テック製のレジとなっています。この数値はほかのメーカ(NEC 23.7%、富士通13.15% )に比べて圧倒的に高い数字です。そして大手の3社で多くのシェア(80%以上)を持っていることがわかります。つまり、寡占化が進んでいる、しかも1強がいる業界ということがいえます。

また、レジは大手スーパー・コンビニが多く採用しており、たとえば、主要なチェーンでは下記のようなレジが使用されています。

東芝テック:セブンイレブン、イオン、コープ、阪急百貨店、イトーヨーカドー など
NEC:ローソン、すかいらーくグループ、
富士通:東急百貨店 など

これらの大手で納入されているレジの特徴はオンラインで接続されていることですが、多くの個人商店のレジはオンラインで接続されていません
また大手メーカーのレジは高いなどの理由から、その他のレジメーカのレジを導入しているケースも多いです。結果、電子レシートの普及という点においてはレジの買い換えが必要なケースも多く、店舗にとっては普段の業務のやり方を大幅に変更するなどの大きなデメリットが存在するケースも少なくありません。

仕様の策定が閉鎖的であり、自由に開発できる余地が少ない

電子レシートには、実は表示の規格がすでにある程度制定されており経済産業省のホームページに仕様が公開されています(経済産業省)。仕様の策定は全米小売業協会が実施しており、日本ではそれを翻訳し検証などを行っています。日本ではMicrosoftや東芝テック、レシートメーカも入り追加機能の仕様策定を行う動きが進み、経済産業省主催でビジネスコンテストまで開催されています。

しかしながら、現在は電子レシートをどのように受け取り・どのように違ったプラットフォーム間で受け渡しし合うか?というプログラムの全容は見えてきません(関連するところにはメールにて取材を行いましたが「現在のスマートレシートとは異なるデータの統合管理の仕組みだ」以上の回答を得ることは、2021年初頭現在できていません)。

また現在のところ電子レシートを受け取るアプリ・統合プラットフォームが(TカードやRポイントのように)しっかりと整備されておらず「導入したくても導入できない」「導入するにしても効果の検証ができない」といった状況が続いています
費用を計上しても効果の検証ができない、費用が流出するだけ。そのようなシステムに投資できる企業は、限られているのが実情でしょう。

また、東芝テックが開発しているスマートレシートは無料で導入できますが、デメリット1で指摘したように、東芝テックが開発している指定バージョン(指定要件を満たしたレジ)である必要があります。ベンダーロックされてしまうことは、データの流通上でのパワーバランスなどを考えるとデメリットになりえます。

コンプライアンス・個人情報保護の仕組みが整備されていない(=自分自身で情報の提供範囲を制限できない)

レシートを集めると「その人がどのような購買生活をしているか」がすぐにわかる仕組みができあがります。今までも家計簿アプリでクレジットカード連携をして自動で使用履歴を家計簿につける機能などはありましたが、クレジットの明細取り込みより正確な情報が電子レシートでは提供されることになります。電子レシート提供メーカとしてはこの正確なデータを外部に販売・提供したいト考えるのですが、あまりに正確・内容が細かいため情報の提供範囲を各個人で制限できるようにする必要がある、という考え方が主流です。

現在経済産業省で実証実験を実施し結果を集約している( https://mainichi.jp/articles/20170303/k00/00m/020/029000c )のですが、この実証実験の協力は東芝テックと博報堂です。博報堂といえば広告業界で電通に並ぶ巨大企業であり、各個人にかなり正確なプロモーションを届けたい(しかも動画で!)という思惑が透けて見えます。

もっとも、町田市で行われた経済産業省の実証実験では、アプリ上で提供する情報を制限する(例:年齢や性別だけを提供し居住地は提供しない)といったことが機能として実証アプリについており、プライバシー保護についてはデメリットではなくなる可能性も高いです。

まとめ:電子レシートの普及には「無料」かつ「スピーディ」にやる仕組みが必要不可欠

電子レシートの普及しない理由についてみてきましたが、いかがでしたでしょうか。

総括してみると「電子レシートの普及に本腰を入れて、安い値段かつスピーディにやっつけないといけない!」という大きな問題が存在することに気づきます。

kvitancoでは、特定のレジメーカに依存しない形で、安い値段で電子レシートが導入できるプラットフォームを準備しております。デモ環境もご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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