
2020年のコロナウィルスの騒動などであらゆるもののデジタル化が進む中、少しずつ注目されているのが「電子レシート」です。経済産業省も入り、電子レシートの共通規格の制定や電子レシートをやりとりする中間サーバーの準備などが進められています。しかし、電子レシートと検索をしても上位に来るのは東芝テックのみ。それ以外の事業者で使用できるサービスがないように見える…という意見もあるかと思います。
そこで今回は国内で電子レシートサービスを提供している事業者を複数紹介いたします。
目次
電子レシートサービス
東芝テック「スマートレシート」

電子レシートといえば、東芝テック(株)が提供している「スマートレシート」が有名です。東日本大震災をきっかけに開発を進められたそうで、現在では日本全国で生協や阪急系のスーパーなど、ざっとみただけでも100以上のスーパーなどのチェーン店で使用できます。
利用料は、2021年初頭頃から無料(2021年8月現在)で利用できるようになりました。
特徴としては、既存のポイントカードとの紐づけで、既存のポイントカードをかざすと自動的に電子レシート受け取りができること。利用者側としては毎回「電子レシートで」と言わないで済むため、気軽に使えます。
また業界のパイオニアとして、レシートデータをもとに献立をお勧めするレシピサイトとの連携や、セルフメディケーション税制関連のレシートを抽出できる機能があります。電子レシートを中心とした生活のあり方をどのように変えるか?を積極的に提案されています。
※なお、東芝テック製のレジとしか連携できないイメージが強いですが、ユビレジというタブレットレジの会社のレジでも電子レシートが導入できるようになったようです。これにより、より広い範囲で電子レシートが普及していくのではないでしょうか。
ログノート「iReceipt」

ログノートという会社も、電子レシートを黎明期から展開されている企業の一つです。大きなところでは、ファミリーマートやドン・キホーテで導入されています。
特徴としては、レジメーカーではない第三者のメーカーとして、きめ細やかなシステム構築サービスが展開されていること。ドン・キホーテでは「majica」、ファミリーマートでは「ファミペイ」など、自社で展開されている決済手段と組み合わせての採用事例が多いように見受けられます。
やはり、利用開始までにそれなりのエンジニア工数がかかりそうです。
スター精密「AllReceipts」

スター精密性のプリンターを利用していれば利用できる「AllReceipts」というサービスがあります。利用する設定にしておくと、レシートプリンタに印刷データとして出力されたデータを、イメージデータとしてメールで受け取ることができます。
※レシートに、受け取り用のコードが印刷されるのでそちらを読み取ると、AllReceiptアプリにレシートデータが配信される仕組みです。
各社のPOSアプリへ簡単に埋め込みができるのが特徴ですが、裏を返せばPOSレジアプリでの開発がされていることが必須となります。
また、スター精密のレシートプリンタを使用している場合に利用が限定されます。
利用料は無料(2021年8月現在)です。
Kvitanco

このブログの運営元である「Kvitanco(ビタンコ)」も電子レシートを提供しています。他の事業者様と違いシステムインテグレーションをするのではなく、レジの管理画面などのデータからレシートを生成するのが特徴です。そのため、電子レシートの埋め込みのための複雑なカスタマイズをしないで、電子レシートを利用した人の属性を手早く分析したり、キャンペーンの告知をすることが可能です。そのため、WEB管理画面をもつタブレットPOSレジ(Airレジやスマレジなど)と組み合わせ可能です。
また、自社アプリ/WEBサイトへの埋め込みは必須ではなく、共通アプリ「kvitanco」を利用することで他の店舗様と共通のレシート受け取りアプリ(およびポイントカードプログラム)として利用することが可能です。
また法人向けの経費精算の仕組みの導入も検討中ですので、法人のお客様の囲い込みにもつなげられます。
デメリットとしては、受け取りの際にお客様またはお店で紐づけに必要な情報(金額、レジ番号の2つ)の入力が必要なこと、リアルタイムでのレシート連携ではなく日時バッチ処理後(翌朝など)のレシート配信となることの2点です。
利用料は月2000円(2021年8月現在)です。
電子レシートはなぜ導入するのか?
電子レシートの導入で、店舗側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
改めて考えてみると「レジロール紙」以外に以下のようなものがあります。
・会員に購買情報がしっかり紐づくので、PRの配信がしやすくなる
・返品の際に「レシートないんですけど」という問い合わせを減らすことができる
・メーカーとのタイアップ企画(例:10本購入したら1本無料)が展開しやすくなる。メーカーやそのほか直販業者とも話しやすくなる。
・ポイントとは違う動機付けで提示されるため、ポイントはつけなくてもOK
まとめ:開発途中のサービスだが少しづつ普及していくかも
電子レシートのサービスは、ここ10年くらいで少しづつ始まったものです。便利になるといわれつつも、現金還元!といった強力なインセンティブが出しにくく、普及は緩やかですが、潜在的な可能性は秘めている領域だと思います。
ぜひ、先んじて電子レシートの導入を検討してみてください。「エリア初」というのは注目されやすく、電子レシートの導入だけにはとどまらない効果も期待できます。