「キャッシュレスがこんなに進んでいるのに、まだレシートは電子化していないんだよね…」という声が昨今聞かれるようになりました。最近は経済産業省主導で東京都町田市で20以上の店舗などが参加し実証実験が行われたことで少し話題になりました。

でも、レシートはそもそも発行する必要があるのでしょうか。キャッシュレスなら別によくない?という意見もあります。
そこで今回は「キャッシュレスの場合レシート発行しなくてもいいのか?」「電子レシートは紙のレシートの代替になるか?」について考えていきたいと思います。

目次

企業編: 口座引き落とし(月謝など)であれば「銀行の引き落とし明細」を領収書扱いにしているところは多い

法律上、民法第486条は「弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる。」と定義しています。しかし、これは相互に「いらないよね」といっていれば省略することができます。
一方国税ではどうでしょうか。電子帳簿保存法の定義では領収書など受領の事実を証明する書類として「領収書」の電子保存が認められています。領収書は民法上省略できるが監査書類としては必須である−ということがわかります。
ただし取引を証明するだけであれば、口座の引き落とし明細も「取引があった」という証明になります。コンビニ払いの受領証が領収証がわりになっているのも、そのような「取引証明」できればいいや、という物にすぎません。

https://www.0base.co.jp/ より引用

企業編: 電子レシートは取引証明書類として認められるのか?

ところで、領収書の電子帳簿保存については電子帳簿保存法による必要がありますが、最初から電子的に発行された領収書については電子帳簿保存法に基づいて保存する必要はありません。例えばクラウド会計ソフトからWEB受け取りサービスを通じて送付されたPDFや各種EDI(電子商取引)ソフトでの取引明細は一々印刷して残す必要がないのです
この法則にのっとれば、EDIシステムとして整備された電子レシートシステムではレシートの電子保存は必要ない、ということがわかります。

ただし、そんなEDIやら何やらを電子レシートで実現したサービスは、今日まだ登場していません。唯一登場しているサービスは「スマートレシート」ですが、個人向けサービスであり出てきたレシートを企業間で共有するなどの話にはなっていません。

日本では昔から「紙で保存する」「チェックは全て紙で」という文化が強く、紙で発行していたものを電子発行にする、とか、他のシステムにインポートできる方式で送る、といったことが全体的に遅れていると感じます(請求書OCRとか、パソコンで作ってまた電子化する…お互いが印刷代とAI-OCR代金を余分に負担してます。経済の損失ですね…)。

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