最近のIT技術を見ていると「AI(人工知能)」や「BI(ビジネスインテリジェンス、グラフからの知見発見ツール)」、「RPA(マウスとキーボードの自動操作ツール)」など多くの単語が並ぶようになっています。何が何だか…。

そんな中、私の家にやってきたテレビの点検担当者が「僕もPRAとかいう凄い万能なやつ使えるようになりたいんです!」

そこで今回は、業務改善につながるカタカナ文字のツールを説明しつつ、それらをどのようにつなげていくべきか(どのように活用できるのか)紹介します。

目次

まずはじめに:ITは操作系、判断系、整理系の3つ

ITの話をする前に、ITシステムとは何か、をまず考える必要があるのでは無いでしょうか。私の今までの感覚からいうと、ITシステムは、以下の3つに大きく分けることができます。

  • 操作系:ロボットやマウス、キーボードの操作、発話システムなど
  • 判断系:言語の分析システム、金融機関の審査システム、自動入館システム
  • 整理系:グループウェア(GoogleカレンダやGmailなど)、Excel、そのほか各種基幹システムなど

上記の区分けは少々強引だとは思います(例えば入館システムは指紋判別+社員管理システム+ドア開閉システム)が、大きく機能を考える上ではいいのでは無いでしょうか。
この区分を、まずは頭に入れてみてください。

RPAの使い所:マウスとキーボードをぽちぽちやるだけで完結するもの

RPA(Robotic Process Automation)は、知的労働者の仕事を代替する「ホワイトカラーの産業ロボット」として、あらゆる事務処理を代替してくれるものとして大きく取り上げられています。しかしながら、RPAは上記でいうと「操作系」です。RPAの得意な仕事は、次のような仕事です:

  • Excelの仕訳内容を、PCAソフトに書き写す。
  • 1日に1回関連会社の新聞記事をYahoo!から取得し、全社員に共有する。
  • 取引先からのPDFデータを、所定のフォルダに収納する。

一方で、以下のような仕事はできません:

  • 保険の申請書類を、各自の健康状態を把握しながら書く
  • 営業からの伝言(自由フォーマット)をベースに、社内りん議を自動で作成し電子承認システムにのせる
  • 誰かに電話し、営業のアポどりをする

上記のような仕事ができないのは、RPAには判断する能力がなく、マウスとキーボードの操作のみを代行するだけの仕組みである、という理由からです。
また、RPAでできる、と言った仕事も、事前に

  • 「取引先からのメール」が具体的に「xxx@example.com」からのメールをさすこと
  • xxx@example.comからのメールは「mmm商事」からのメールであること
  • 「タイトル」に「請求書」の文字が入っているメールのみが対象のこと

などを一つ一つ教え込んでいなければなりません。RPAに効率よく教え込むには、RPAに対して指示をだすAIやAPIなどの司令塔が必要となります。

AI:入力データに対して「統計的に確からしい」結果データを計算をしてから指定のフォーマットで返す

AI(Artificial Intelligence)もまた、バズワードとして日本を席巻しているワードの一つです。AIは判断系のシステムの一つで、作るのに膨大な時間と労力がかかります。これは、AIはビッグデータ(膨大な同じ形式のデータ)の一つ一つを比較し、比較する中で一定の法則性を発見・法則化する仕組みだ、というのが理由です。法則化(「xxxの法則」みたいなもの)がなければ、入力した内容に対して「どういったことを返したら正解なのか?」がロボットにはわからず、結果デタラメな判断材料を人類に提供することとなってしまいます。人間でも「これ求めていたものとちゃうねん」「視点がずれすぎてる」と言った人がいると思いますが、それと同じですね()

RPAを自動的に動かすためのAIも、膨大な購買データなどと、それを分析できるIT技術者や数学者が必要なのですね。

BI:グラフ化して、情報をよりみやすくする

BI(Business Intelligence)となると、単なるグラフツール、といわれても場合によっては仕方ないくらい、本当に昔からあるITシステムです。BIは、Excelやデータベース、各種ITシステムのデータを自由に掛け合わせ、そこまで複雑な作業を行うことなく商品の売れ筋傾向やマーケティング効果の測定などを短期間で完遂するためのシステム。このシステムを使いこなすには「データとデータの相関性の把握」「リレーショナルデータベースの概念の理解」「元となるデータの精度・フォーマット・表示形式・記録条件の統一(データクレンジング)」ができる必要があります。

結局のところ、ビジネス知能、と訳すこともできるBIも、人間が何かしらの方針を与えること、またその根拠のデータを整備して渡してあげないとただの宝の持ち腐れとなってしまいます。

RPAのベストプラクティス:RPAで単純作業を行い、RPAでの作業上何かしらの分岐が発生する際にはAPI(または、できあいのAI)を使う。データの表示にBIを使う。

ここまで各種システムを解説してきましたが、私自身業務でRPA, AI, BIを活用しています。これらの利活用には、ITスキルも必要ですし、データクレンジングや収集のために簡単なNode.jsやPython、PHPなどのプログラミング言語を使用したデータ整理ツールを作成しました。

その中で感じたのは「RPAが動きやすい環境を作ること」「判断基準や処理元のデータはWEBからゲットできるようにしておくこと」の大切さでした。

例えば、経費精算の作業を考えてみましょう。ある会社ではレシートのみを経理部に渡して、そのお金を自分自身に振り込むように要求しています。これでは、経理の人は毎日経費の処理を行うだけで仕事が終わってしまう、と言った可能性すらあると考えられます。

一方、Bでは経費精算一覧をExcelで作成し、メールのタイトルに「経費精算」と入れてメールを送信していました。これであれば経理部はExcelの数字とレシートの一致のみを確認するだけで済みそうですね。

そして、この小さなことがRPAの導入にも影響してきます。RPAはマウスとキーボードのみの自動化なので、少なくともB社の状況でないと業務自動化をする、というその作業すらできないのです(PCで処理すべき情報がないからですね)。各自がPCに打ち込んだり、画像判定&インポートするAIを使用したりしなければ、仕事はいつまでたってもちっとも効率化されません。

RPAなどのシステムの導入の際には「仕事の方法(ホウレン草、作業方法)をはじめとした働き方改革」が必ずつきものである、ということを肝に銘じておく必要がありそうです。

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